中小企業の事業再生支援政策について(2014年VOL.3)

1.日本の中小企業政策の変遷

日本の中小企業再生支援策は、時代の流れに従い変わってきており、現在は、再生支援という方向で進みつつあります。

 

戦後の復興期は、戦前の財閥による経済力の集中を防止し、健全な中小企業の育成の必要性から、中小企業庁の設立、独占禁止法の制定などがされました。高度成長期を経た後、日本の中小企業政策は転換期を迎えました。根本にあったのは、中小企業は、倒産する一方で次々に生まれ、新陳代謝が繰り返されるものなので、救済の必要が低いという考えです。

 

ところが、近年この政策が見直されてきております。背景にあるのは日本の社会構造の変化です。

 

日本の人口は2010年以降減少が続いており、日本の高度経済成長を支えたベビーブーマー世代が定年を迎えるなど、65歳以上の高齢者が激増する一方で、少子化などの影響で日本の社会を支える労働人口は減り続けています。今後もこの勢いは止まりそうにありません。加えて、輸出を行う大企業が、円高不況や国際競争力にさらされた結果、為替に影響されない現地における資材調達・現地生産、安価な海外の労働力を求めて、国内の生産拠点の海外移転が進みました。地域の経済は、大企業の生産拠点などに雇用を依存していましたが、このような状況で、地域経済の空洞化が進みました。一方、新陳代謝により次々に新しい企業が生まれると考えられていた中小企業も、開業率が廃業率を上回る状況が続き近年その数が大きく減っています。地域経済が国内の大手企業の生産拠点に依存することに限界が来ている現状で、地域経済を救うには、中小企業の支援をするべきであるという考えに至ったのです。

 

平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略」(アベノミクス第3の矢)という政府の基本方針にも、中小企業再生の促進を国が支援する、という政策が含まれています。政府の日本産業再興プランにおいて、中小企業に関する政策目標は、①開業率が廃業率を上回る(米国、英国並みの10%台に)、②2020年までに黒字中小企業を70万社から140万社に、③5年間で新たに1万社の海外展開を実現、とされています。

2.産業競争力強化法

日本再興戦略のもと、政府一丸となって実行するための体制を確立するために産業競争力強化法が制定されました。その中身は、規制改革、産業の新陳代謝促進のための制度などですが、その中に地域中小企業の創業、事業再生支援の制度も含まれました。

3.具体的な中小企業支援政策

(1)個人保証の見直し

これまで中小企業が政府系金融機関、民間の金融機関から借り入れをするとき、代表者等の人的保証、個人資産への物的保証を求められることがほとんどでした。しかし、これが、中小企業の早期の再生の障害になっていました。中小企業が倒産手続きをとると、保証人である個人の資産を失うことが避けられませんでした。これを恐れて、中小企業の経営者の方がなかなか手続きに踏み切れず、企業の再生が遅れていました。経営者の方の個人資産への影響力を減らせば、早目の手続きにより、経営者の方の再出発、新たな企業の再興が促せると考えられたのです。そこで、平成26年2月から、「経営者保証に関するガイドライン」を公表し、経営者保証を求めないこと、経営者に一定期間の生計費、華美でない自宅等を残すことを認めるものです。ただし、早期の手続きによる債権者の回収見込み額の増加額を上限とするので、この制度の適用には かなり限界があります。

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