給与の未払いと破産3 ~給与立て替え払い制度の対象となるもの~
従業員がいる会社(法人)または個人事業主が給与未払いのまま破産申立をした際、会社(法人)または個人事業主に資産が残っていない場合は、給与の立て替え払いをしてくれる制度があります。
その要件については別の記事で書いていますので、ここでは、給与立て替え払いの対象がどのようなものか、について記載します。
【1】期間の制限
退職日の6か月前の日から立替払請求の日の前日までの間に支払期日が到来している定期賃金及び退職手当に限られます。
つまり、立替払いしてもらえるのは、最大6か月までの給与及び退職手当です。
【2】金額の上限があります
金額の上限は、以下のように年齢により違います。
| 退職日における年齢 | 未払い賃金総額の限度額 | 立替払上限額(左の額の8割) |
|---|---|---|
| 45歳以上 | 370万円 | 176万円 |
| 30歳以上45歳未満 | 296万円 | 110万円 |
| 30歳未満 | 220万円 | 88万円 |
実際に未払い給与を支払ってもらえるのは給与額の8割となります。ただし、所得税、住民税、社会保険料等法定控除額を控除する前の税引き前の給与額の8割なので、実際の給与の手取り額とあまり変わらない額が立替払されることになると思います。
【3】立て替え払いの対象となるもの
定期賃金(労働基準法第24条第2項に規定する、毎月1回以上定期的に決まって支払われる賃金<例:基本給・家族手当・通勤手当・時間外手当等>)で、所得税、住民税、社会保険料等法定控除額を控除する前の額になります。
退職金についても(2で述べたとおり)金額の上限には厳しいものがありますが、上限の範囲内であれば、退職金も給与立て替え払いの対象になります。
【4】立て替え払いの対象とならないもの
解雇予告、賞与、遅延損害金、慰労金・祝金名目の恩恵的な(または福利厚生上の)支給、実費弁償等は立替払いの対象になりません。
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