店舗の売却益や自動車の売却益で破産費用をねん出した事例

依頼者プロフィール

業種
小売業
従業員数
1名
年商
4000万円程度
社歴
6年程度
債権者数
20件
負債総額
約2100万円

相談時の状況、相談のきっかけ

設立当初は、営業は順調だったが、徐々に売り上げが落ちていった。経営していた店舗のうち1店舗を譲渡し、販売促進やネット販売の強化などに取り組んだが思うように伸びず、返済が難しくなった。

朝雲法律事務所を選んだ理由

場所・アクセスの良さ、破産・倒産に詳しそうだったから

解決までの手順

■年9月 初回相談

■年10月 受任

直ちに受任通知を発送し、ご依頼者への直接の請求を止めた。

その後、申立に必要な書類の作成、資料の収集。

  • 年11月 申立

同月 裁判所、管財人候補者、代表者、申立代理人との面談

同月 破産手続開始決定

▲年1月 第1回債権者集会

▲年7月 第2回債権者集会

弁護士が見た事案解決のポイント

① 店舗を廃業し破産する場合、店舗は賃借しており、原状回復する(店舗を入居前の状態に戻す)必要があるが、内装等の撤去が必要なので、相当なお金がかかるので、破産するときの障害になりやすい。この点、店舗を他人に譲れば(営業譲渡)、退去に伴う原状回復費もかからず、在庫も引き継いでもらえるので在庫の価値が落ちず、在庫や店舗内装の代金をもらえるので、原状回復等で出ていくお金がないばかりか、かえって資産が増えることとなる。本件も、ご依頼者が、店舗の従業員に店を引き継いで、代金も分割ではあるが、もらったので、退去費用などの経費が掛からず、むしろ営業の売却代金で、資産が作れたので、破産手続きに支障がなかったばかりか、いくらかの配当を債権者にできる程度の資産が形成できた。

② 本件は、廃業時に、店舗の営業を従業員に売却していた。しかし、売却の契約書等を交わしておらず、売却代金がいくらについて、ご依頼者と買主との間で主張に違いがあった。契約書がないので、もともとご依頼者が主張する金額を買主に払ってもらうことが困難な状況だった。そこで申立前に、買主に面談し、買主側の主張する金額がいくらかについて調査を行った。それで営業の代金として後いくら回収できるかの見通しを申立時に報告していた。それで、管財人にとっては、営業譲渡代金が後いくら回収できるかの見込みが当初からわかったので、同管財人の仕事をやりやすくする結果となった。こういったことは、裁判所や管財人に評価されるポイントとなり、破産手続きをスムースに進める一助となった。

③ 廃業時には、現預金がなかったので、自動車の売却及び上記の営業を譲渡した代金の分割による受取で破産費用をねん出した。

④ 上記の通り、自動車は申立前に売却したが、相場より安い価格で売ると、後で管財人から、不足分を払うように言われることもある。それで、複数の業者に価格を提示させ、各業者がいくら提示したかの資料も取っておいて裁判所に提出できるようにしたうえ、価格が一番高いところに売却した。

⑤ 上記の通り、自動車を売却したが、廃業時は、ご依頼者に収入がなく、一方で家族がいてどうしても生活費が必要だったので、売却費の一部を生活費に充てた。この点は裁判所に理解してもらい、生活費に充てた分を後で返すようにともいわれなかった。

⑥ 本件は、店舗の譲渡(営業譲渡)の代金を月々の分割でもらっていたが、これをご依頼者が受け取り、使ってしまうと、破産財団(管財人の報酬及び債権者への配当のための資産)を減らしてしまったことになり、後で問題となる。この点、買主に通知を送り、営業の売買代金の分割支払い分を、弁護士が受領し、そのまま管財人に渡すようにして、財産を減らしてしまうことがないようにした。

⑦ 決算書は、法人の資産内容を立証する最も重要な書類の一つであるが、ご依頼者が有していなかった。税理士からももらえなかったので、金融機関に依頼して、与信管理のために提出していた決算書を頂いた。

⑧ 本件は、かつて2店舗を営業しており、途中で一店舗を売却していたが、その売却代金について、契約書等の資料がなかったので、決算書の法人概況説明書から、売却時期と売却益を割り出して、裁判所に報告した。

依頼者の声

依頼者の声

1.なぜ当事務所にご依頼いただけたのか理由をお教えください。

当時の職場から近かったため。

2.当事務所のサービスや接客についてのご感想をお聞かせください。

非常に良かった