高齢者が破産や個人再生(老後破産)する場合、どのようなメリットがあるでしょうか?
1 年金等の受給は可能
破産しても、年金を受給する権利は失われません。
年金は通常通りもらいつつ、借金だけを破産で免除、個人再生で減額ができます。
また、年金の差し押さえは禁止されており、破産した場合に給与を差し押さえられるかもしれないといった、現役世代のような心配はありません。
また、破産をすると、宅建士や古物商などの様々な資格の制限や、生命保険の外交員、損害保険の代理店、警備員などになれないといった様々な職業制限を受けます。しかし、年金受給者であれば、資格制限や職業制限によるデメリットはないということになります。
2 破産や免責が認められやすい
破産には「支払い不能(借金を継続的、一般的に返していくことが不可能)」)という要件があります。したがって、借金額が少ないと支払い不能とは言えず、破産を認めてもらえないことがあります。破産が認められないと、免責(借金の免除)も認められません。
この点、高齢者の方で、年金のみが収入で、その金額もそれほど多額でない場合、現役世代に比べると収入が少ないことも多いと思うので、少額の借金でも支払い不能と認められ、破産、ひいては免責が認められやすい傾向にあります。
3 子供が借金を引き継ぐという心配から解放される
借金をしている方が亡くなった場合、借金も、残された配偶者やお子さんに相続されます。相続は、不動産や貯金といったプラスの資産だけでなく、借金というマイナスの資産も対象となります。
しかし、亡くなった方に借金があった場合、残された遺族が相続放棄をすれば、借金を相続しなくて済みます。
しかし、相続放棄は、亡くなったことと、自分に引き継ぐ資産があったことを知った時から3か月以内にしなければならない、家庭裁判所に所定の書類と添付書類を提出しなければならない(「要式行為」といいます。)といったルールがあります。そのため、相続放棄をし損ねてしまうと、借金を引き継いでしまうことになります。
しかし、借金を抱えた方が、破産・免責を得ると、その時点で借金は消えてなくなっているので、残された遺族が借金を引き継ぐ恐れはなく、相続放棄をする必要もなくなります。
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