ある信用調査会社のプレスリリースによると、令和7年(2025年)1月~9月の学習塾の負債額1000万円以上の法的整理(破産や民事再生など、単なる廃業ではなく、借金が返せず、廃業に伴い、裁判所に法的整理を申し立てるもの)の数が、全国で37件に及んだそうです。同期間では、過去最多だということです。
私が小さい頃の学習塾と言えば、地域密着型の小規模のものが多く、全国展開するような会社は少なかったような印象です。
それで、全国展開する、資金力を有する大きな学習塾が増え、そういったところに生徒を奪われたうえ、少子化に伴う生徒数の減少で、学習塾が廃業や法的整理に追い込まれるといった時代背景もあったと思います。
しかし、令和7年1月~9月の学習塾の法的整理(破産など)の増加は別の要因があるようです。
先述の信用調査会社のプレスリリースによると、コロナの影響でオンライン授業に特化した事業者や学習用のスマートフォンアプリの台頭もあるようです。このような時代背景のもと、学習塾も、オンライン授業のためのデジタル設備の投資で借金が増えたり、オンライン授業に強い学習塾に生徒を奪われたりしたことも一因のようです。
また、どの業者にも言えることですが、コロナ貸付の返済猶予(モラトリアム)の期間が満了し、返済資金が足りなくなるといったことも、倒産増加の一因としてはあると思います。
生徒の側からすれば、授業料を先払いした場合に、倒産により授業が受けられなくなるので、授業料を返してもらえるかが問題となります。
しかし、私の考える限り、授業料の返還請求に、先取特権のような優先的に弁済を受けられる権利はないと思います。
したがって、学習塾に資産が残っていても、銀行や取引先などの他の債権者と同じ割合での、破産手続きに伴う配当以上のものは返ってこないと思われます。