母子父子寡婦福祉貸付等制度というものがあります。
これは、シングルマザーやシングルファーザーの方が、子供さんの就学支援等のために借りられる制度で、お子さんが高校や大学・専門学校に入学時や在学中に借りるものです。入学準備金として一括で比較的大きなお金を借りられるだけでなく、毎月の学費のために半年に一回など定期的にお金を借りることができます。
国の福祉制度なので、全国どこの自治体でもこの制度を運用していると思いますが、福岡市でもこの貸付を行っています。貸付窓口については、例えば、早良区にお住まいのかたは早良区役所の子育て支援課家庭児童相談室となります。
以下、母子父子寡婦福祉貸付等制度を利用して、お金を借りていたシングルマザーやシングルファーザーの方が破産や個人再生をする場合の注意点をご説明します。
この貸付は、実は、親御さんと、お子さんが連帯して借り受け人になっています。
貸付を受ける際に、その旨の説明を受けると思います。
しかし、借りた後、破産や個人再生するまでの間、長い期間が経過して記憶も薄れるでしょうし、子育て支援の貸付であり、借りる際はお子さんも未成年なので、親御さんだけが借り受け人だと誤解されている方もいるようです。
誤解の原因のひとつは、貸付金という制度のタイトルだと思います。このタイトルからイメージされるのは、例えば、日本政策金融公庫が行っている学資ローン等であり、これは、親御さんのみが借り受け人で、お子さんは借り受け人でないので、これと同じ形だと誤解しやすい面があるのではないでしょうか。
お子さん自身が借りるものとしては、奨学金があります。大学や専門学校で借りる日本学生支援機構、高校で借りる「公益財団法人福岡県教育文化奨学財団」「公益財団法人福岡市教育振興会」などは、一般的に奨学金であると認識されており、借り受け人も子供さんで、親御さんは保証人なので、本来的にはお子さんが返すべきものだというイメージが定着していると思います。
母子父子寡婦福祉資金貸付も、お子さんも返す義務を負うという意味で、実質的に、奨学金の一種であると思っておいたほうがいいです。
したがって、母子父子寡婦福祉資金貸付を親御さんが返している途中で、親御さんが破産や個人再生をする場合、福岡市からお子さんあてに通知が来て、お子さんが返す手続きをとることになります。
当初からお子さんが返している場合は特に通知等は来ません。
通知が来た場合は、お子さんの口座から引き落とされるように手続きをすべきでしょう。親御さんの口座からは引き落とされなくなるため、お子さんの口座から引き落とさないと延滞していることになり、一括請求などになりかねません。
母子父子寡婦福祉資金貸付は、一般的に、一口当たりの返済月額は数千円であり、親御さんが破産してお子さんが返すことになっても、それほど負担にはならないと思います。ただし、2口ほど借りていれば、1万円程度になる場合もあるかとは思います。