個人再生は免責不許可事由がある人でも裁判所の許可がもらえます
破産の場合、免責(債務の免除)をもらうには、裁判官の許可が必要です。
免責がもらえるかどうかは、裁判官の裁量が大きいのですが、法律上「免責不許可事由」というものが定められており、免責不許可事由に該当すると、免責が出ないこともあり得ます。
免責不許可事由とは、例えば「パチンコなどギャンブルで借金ができた」「必要のないものをローン購入し現金化した」など、その他さまざまです。
しかし、免責不許可事由があって破産の免責がもらえない人でも、個人再生であれば許可がもらえます。
したがって、免責がもらえない可能性がある人は、免責をもらえない危険を避けるため、最初から個人再生にするということでもいいと思います。
では、免責不許可事由には、どのようなものがあるでしょうか?
主なものは、以下のとおりですが、これらに当てはまる人は個人再生をすることも検討したほうがいいでしょう。
1. 浪費で借金ができた人
2. ギャンブルで借金ができた人
3. 投資などで借金ができた人
4. 最初からお金にかえる目的で、ローンでものを買ってすぐに換金した人
5. 債権者をだまして借りた人(例:架空ローン)
6. 前の破産から7年以上たっていない人
1. 浪費で借金ができた人
買い物系、交友・接待系、趣味、娯楽系などがあります。
・買い物系:高い車、高価な洋服、貴金属、バッグ・財布など、ブランド品などを買って借金が増えた人
・交友、接待系:交友関係が広くて頻繁に友達や同僚と食事や飲みに行ったりして、接待などの飲み会でのカード決済などで借金が増えた人
・趣味、娯楽系:ゲームの課金、好きなアーティストのコンサート、グッズ購入、推し活
2. ギャンブルで借金ができた人
ギャンブル(パチンコ、スロット、競馬、競輪、競艇など)で借金ができた場合です。
3. 投資などで借金ができた人
株や投資信託などもそうですが、比較体多いのはFXやバイナリーオプションです。
4. 最初からお金にかえる目的で、ローンでものを買ってすぐに換金した人
借金の返済に困っている際、クレジットカードの借入枠は残っていなかったので、クレジットカードの購入枠で不必要なものを買った後、質屋などで売って現金化したりする場合です。また、クレジット枠の現金化をする会社で実態のないもの(例えば、ただの石など)を買ったことにして、クレジットカード会社から現金化の会社に振り込まれたお金を受け取る場合などもそうです。
5. 債権者をだまして借りた人(例:架空ローン)
例えば、150万円の車を買ったことにしてローンを組み、実際には100万円の車を買って50万円を車屋さんから受け取る場合などです。また、収入や就業先を偽ってお金を借りる、ニセの給与明細や源泉徴収票などを貸金業者などに提出するなどもそうです。
「私って、上記に当てはまるかも?」と思った人は、個人再生をすることもご検討ください。
~個人再生とは~
個人再生は、裁判所で手続きして、裁判所の許可を得てするものである点は破産と同じです。
破産と違うのは、一部の返済をする(残りは免除される)点です。一部を支払うことで、免責不許可事由があっても、裁判所の許可を得られるということです。
その一部がいくらかですが、以下のルールがあります。
| 借金総額 | 支払い額 |
|---|---|
| 100万円未満 | 借金総額と同じ額 |
| 100万円~500万円 | 一律100万円 |
| 500万円~1500万円 | 借金総額を5で割った額 |
| 1500万円~3000万円 | 一律300万円 |
| 3000万円~5000万円 | 借金総額を10で割った額 |
ただし、財産がある人は、自分の財産の総額以上を払うというルール(清算価値保障原則)があるので、上記より払うべき金額が増えることがあります。
(※個人再生には、小規模個人再生と給与所得者個人再生がありますが、上記は小規模個人再生を前提にした説明です。)
個人再生の支払い額についての詳細については「個人再生支払総額の事例」をご覧ください。
また「浪費があったので、個人再生にした事例」も、併せてご覧ください。
・商品の購入や浪費があったが、免責許可を得た個人再生の事例
・浪費による借金があったため、破産でなく個人再生にした事例