【福岡の自己破産】何を失う?財産・信用への影響を弁護士が解説

福岡で自己破産を検討している方の中には、
「破産すると財産は全部なくなるのでは?」
「今後の生活に大きな影響が出るのでは?」
といった不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

しかし、自己破産は生活を立て直すための制度であり、すべてを失うわけではありません。
この記事では、福岡地方裁判所の運用も踏まえて、財産と信用に分けて「失うもの」「失われないもの」をわかりやすく解説します。

《1.財産について》
1_1. 失われる財産
1_2. 残せる財産(自由財産)

《2.信用について》
2_1. 失われる信用
2_2. 失われない信用

《3.特別な事情がある場合に残せる財産(自由財産の拡張)》

財産について

1_1. 失われる財産 ~一定以上の財産は処分対象~

福岡市及びその近郊を管轄する福岡地方裁判所本庁が定めた「一定の基準」を超える財産については、現金化して債権者に配当する必要があります。

【主に失われる財産】
・持ち家・土地などの不動産
・高価な自動車
・20万円(※1)を超える預貯金
・解約したら戻ってくるお金が20万円(※2)を超える保険
・株式・投資信託などの金融資産
・その他一定の基準を超える資産

※1 保有するすべての預貯金の残高が20万円を超える場合
※2 保有するすべての保険の解約時に戻ってくるお金が20万円を超える場合
これらは、破産手続きの中で処分される可能性が高いといえます。

1_2. 残せる財産(自由財産) ~福岡地方裁判所の基準~

福岡の自己破産では、福岡市及びその近郊を管轄する福岡地方裁判所本庁が定めた「一定の基準」を超えない財産は「自由財産」として手元に残すことが認められています。

主な基準は以下のとおりです。

【残せる財産の目安】
・現金:99万円まで
・預貯金:すべての口座の合計が20万円以下の場合
・生命保険の解約返戻金:すべての保険の合計が20万円以下の場合
・自動車(※外車・電気自動車などは除く): 以下のいずれの条件も満たすもの
 - 初度登録から5年以上
 - 排気量2500cc以下
・居住用の賃貸物件の敷金
・退職予定のない人の退職金のかなりの部分(約8分の7)※
・家財道具(生活必需品)
・差押え禁止財産

※退職が間近に迫っている人は、4分の3しか残せません。また、既に退職金を受け取っている人は、基本的にはすべて債権者に配当しないといけません。

【注意点】
・上記は一応の基準であり、裁判所や管財人の判断により、基準以下でも処分しないといけない場合があります。
例えば、浪費やギャンブル(免責不許可事由)などが原因の借金の場合、福岡でも債権者への配当を増やすために、上記基準以下でも財産を処分して債権者へ配当をすることで、免責を得やすくするケースがあります。

信用について

2_1. 失われる信用

2_1_1. 信用情報機関に登録される
福岡で自己破産をしても、全国共通の信用情報機関に情報が登録されます。

主な機関は以下のとおりです。
・全国銀行協会(銀行系)
・CIC(クレジットカード系)
・JICC(消費者金融系)
これらの機関はそれぞれの信用情報を共有しています。

【信用情報機関に載っていると、できなくなること】
・銀行や消費者金融からの借入
・自動車ローンなど、ローンでの購入
・クレジットカードの利用

信用情報が登録されている期間中は、上記項目が難しくなります。
※ただし、一定の期間がたてば情報は削除されます。

2_1_2. 保証人になれない
自己破産をすると、例えば、以下のような保証人にはなれません。

・住宅ローンの保証人
・自動車購入時の保証人
・奨学金(日本学生支援機構など)の保証人

保証人にも審査があるため、破産後は制限されます。
例えば、奨学金の支給期間中に、保証人が破産すると、保証人を交代したり、機関保証(保証料を払う必要)に変えたりしないといけません。

2_1_3. 福岡の賃貸住宅は借りられる?
自己破産をした場合、賃貸住宅を借りにくいケース、借りられるケースがあります。

【借りにくいケース】
・家賃保証をしている信販会社に家賃を払う物件
 ⇒ 信販会社は、先に説明した信用情報を確認するため、審査に通らないことが多いです。

【借りられるケース】
・保証会社が関与していない賃貸物件
・信用情報機関に登録していない保証会社が関与している物件

これらは、審査の際、先ほど説明した信用情報に載っているかどうかをチェックしないので、借りられる可能性が高いです。

このように、福岡市内でも信販会社が関与していない物件は借りられる可能性が高いです。

2_1_4. 官報掲載について
自己破産をすると官報に掲載されますが、以下の理由から過度な心配は不要です。

・福岡でも日常的に見ている人はほとんどいない
・ここから周囲に知られるケースは稀

2_2. 失われない信用

福岡で生活を続けるうえで、以下は影響を受けません。

・選挙権:基本的人権として憲法で保障されています。
・戸籍:記載されることはありません
・銀行口座の開設(※):特に制限はされません
・就職や日常生活:特に影響はありません。
・スマホ、携帯電話:こちらの記事をご覧ください

※借入がある銀行の口座は一時凍結されます。しかし、通常はその後、保証会社が代位弁済をして借金がその保証会社に移転するので、その後は口座は通常どおり利用できます。

【結論】自己破産すると何を失う?

自己破産をした場合でも、
・生活に必要な範囲の財産は残せる
・社会生活への影響は限定的
となります。

自己破産は「人生が終わる手続き」ではありません。

特別な事情がある場合に残せる財産(自由財産の拡張)

福岡の自己破産でも、特に財産を残す特別な事情がある場合、裁判所に申し立てることで本来は処分対象となる財産を残せる場合があります。
これを「自由財産の拡張」といいます。

【具体例】
・重い病気で保険が不可欠で、かつ、新たな保険加入が難しいという事情がある場合、保険を維持できる可能性があります。
・生活が特別に苦しい、お子さんの入学金が必要など、特にお金が必要な特別の事情があると、管財人から資産の一部を戻してもらえるケースがあります。

【注意点】
・残せるかどうかの判断は福岡地方裁判所・管財人が行う
・認められる金額は概ね99万円未満が上限
・自宅などの高額資産は対象外

福岡で自宅を残したい場合は、個人再生手続きの検討が必要です。

まとめ|福岡での自己破産は「生活再建の手続き」です

福岡で自己破産をしても
・すべての財産を失うわけではない
・生活に必要なものは残る
・すべての信用を失うわけではない
という仕組みになっています。

正しい知識を持つことで、過度な不安を解消し、ご自身に合った解決方法を選ぶことができます。

福岡で自己破産のご相談をお考えの方へ

自己破産は、状況によって最適な進め方が大きく異なります。
そのため、以下については、専門家にご相談されることをおすすめします。

・本当に破産が最適か
・財産をどこまで残せるか
・他の手続き(個人再生など)の可能性