焼き肉店・中華料理店・飲食関係産業の破産

2025年5月21日に、横浜中華街の中華料理の老舗『聘珍樓(へいちんろう)』が破産申し立てを行いました。予約客は1000名に及んでおり、これらのお客さんのなかには、料金の前払いをした人も多いと思いますが、料理の提供を受けられません。そのため、前払いのお金を返すように請求する権利があるので、債権者に当たります。
破産を予定しながら予約を取っていたのだとしたら不誠実な対応です。ただ、場合によっては、破産の開始決定まで秘密裏に行わないと、取り付け騒ぎなどが起きて収拾がつかなくなることもあるので、やむを得ない事情もあったのでしょう。

2025年は、同じ飲食店としては、焼き肉店の倒産も増加しているようです。プレスリリースによると、2025年は10月30日(速報値)までに、焼き肉店の倒産は46件に達し、年間最多だった2024年の45件を上回りました。輸入肉や野菜、人件費の高騰により経費が増加し、それを価格転嫁するために行った値上げで客離れが起きるという悪循環が起きたようです。

さらに、食品関係では、2025年11月3日のプレスリリースによると、2025年1~9月期の干物製造業者の倒産が過去最多を記録したそうです。農林水産省によると、過去10年間で、干物や塩漬けの生産量は4割減少しているそうです。若者や子供の干物離れ(骨が多くて食べにくい等の理由)、健康志向(塩分の摂りすぎを気にする大人も多い)などが原因ではないかと思います。

実際に、中華料理店や焼き肉店といった飲食店が倒産する場合、現実的な問題となるのが、店舗の原状回復の問題です。
飲食店を実店舗で営業する場合、厨房施設の設置や、場合によっては水回りの工事などもしており、お店の内装工事もしています。飲食店を廃業する場合、賃貸借契約の内容にもよりますが、これらの内装等をすべて撤去し、原状回復しないといけません。こういった工事費は店舗の広さなどにもよるでしょうが、数百万円かかる場合も珍しくないでしょう。

これらの原状回復費をするだけの資金が残っていない場合、原状回復をしないまま破産を申し立てる場合もあります。しかし、原状回復をしていない以上は、日々、家賃(または家賃相当額の遅延損害金)が発生し続け、店舗の賃貸人はかなりの不満を貯めこみますので、申立代理人弁護士や管財人にとってもかなりストレスの多い状況になります。

こういった事態を避ける方法としては、居ぬき等で店の内装を、新たに店舗を始めたい人に売る方法があります。同業者通しのつながりで買ってくれる人を探すことが多いです。最近は、飲食店の内装の売買(居ぬき)の仲介を業としている会社もあるので、そういった会社で買ってくれる人を探すのも一つの手です。

その他、聘珍樓の倒産でも出てきましたが、予約客が多かったり、クーポン券(例えば、9000円で1万円の御食事券が買えるなど)を売っていたりするケースでは、クーポン券を買ったのに利用する前に飲食店が閉店してしまうと、それらのクーポン券購入者も債権者になります。しかし、このような場合は、予約客やクーポン券の購入者の名前や住所を把握することは難しく、債権者として一覧表に載せにくいという問題があります。

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