2025(令和7)年10月のプレスリリースによると、病院・クリニックの倒産件数が増えました。2025年1月~9月の病院・クリニックの倒産件数は27件で、2007年1~9月期、2024年1~9月期に並ぶ2番目の高水準でした。2020年はコロナの支援策に支えられ、低水準で、その後も10件台の水準でしたが、2024年1~9月期は、2025年1~9月期と同じ27件で、2023年1~9月期から急増しました。
病院・クリニックの主な売り上げは診療報酬であり、保険制度で診察、治療、検査等の診療報酬の点数は決められています。そのため、患者負担分はともかく、健康保険負担分は確実に入ってきます。
したがって、物価がそれほど上がらず、他の業界が売り上げを伸ばせない時期には、診療報酬が提供する医療サービスに見合うものであれば、安定した収入が得られる面があると思います。
しかし、診療報酬が提供する医療サービスに見合わなくなると、逆に経営が苦しくなる面があります。
つまり、現在のような物価高の時代になったにもかかわらず診療報酬が従来のままだと、病院で使う物品の購入代金や人件費などの経費が増えるのに対して、売り上げは増えないので、経営が悪化することになります。
提供する医療サービスごとの診療報酬が、国の医療制度で決められているので、ほかの業界のように、経費が上がったから、その分を販売価格に転嫁するといったことができません。
そういった背景があり、近年の病院・クリニックの倒産件数の増加につながっているようです。
また、医療技術の進歩で新しい検査機械の導入が必要になり、多額の設備投資資金がかかります。さらに、医師や看護師の報酬は比較的高いため人件費も高いなど、多額の経費が掛かるという点も、近年の病院・クリニックの倒産件数の増加の一要因かと思います。
2025年1~9月期の病院・クリニックの倒産は中堅規模の病院の倒産が多く、ベッド数20床以上の病院は9件と、2024年1~9月期の1.5倍に急増しました。
地域の医療の中核を担う病院の倒産もあったようで、心配な状況です。
診療報酬を上げると患者の窓口負担が増え、国の医療制度の破綻の要因になったり、それを避けるための社会保険料の値上げにつながったりするので、安易に診療報酬を上げられない事情があり、難しい問題だと思います。
福岡県内の病院の話をすると、2025(令和7)年9月末に、福岡県久留米市の久留米中央病院(61床)を運営していた医療法人「いたの会」(久留米市)が閉院し、福岡地方裁判所久留米支部への破産手続申立の準備に入ったそうです。同プレスリリースの記事によると、2025(令和7年)1~9月の福岡県内の病院、クリニックの倒産件数は、4件に上るそうです。
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