破産すると預貯金口座は使えなくなるのか?|福岡の弁護士が解説

「自己破産をすると、銀行口座は使えなくなるのですか?」というご相談をよくいただきます。
結論から申し上げると、自己破産をした場合でも、すべての銀行口座が使えなくなるわけではありません。
一般的には、借入れをしている銀行の口座は一時的に凍結されますが、保証会社による代位弁済が行われた後は、再び利用できるようになるケースが多いです。

以下、具体例をもとにご説明します。

1.借入れのある銀行口座は凍結される
2.同じ銀行なら別支店の口座も凍結される
3.借入れのない銀行口座は通常どおり使える
4.凍結された口座はいつ使えるようになるのか?
5.保証会社による「代位弁済」が行われるため
6.代位弁済後は銀行口座を再び使えることが多い
7.保証会社が付いていない場合は注意が必要
8.債権回収会社へ債権譲渡されるケースもある
9.家賃や給与口座は早めに変更しておくべき
10.どうしても同じ銀行口座を使いたい場合

借入れのある銀行口座は凍結される

例えば、架空の銀行として「福岡山笠銀行」と「福岡どんたく銀行」があるとします。
そして、次のような状況を想定します。
・福岡山笠銀行では、カードローンやクレジットカードを利用している
・福岡どんたく銀行では、借入れやクレジットカード利用は一切ない

この場合、弁護士が自己破産の依頼を受けると、債権者に対して「受任通知」を送付します。
受任通知とは「今後は弁護士が窓口になります」という内容の通知です。

福岡山笠銀行には借入れがあるため、弁護士は受任通知を送付します。
すると、銀行は通知を受け取った時点で口座を凍結するのが通常です。
その結果、福岡山笠銀行の口座は一時的に利用できなくなります。

同じ銀行なら別支店の口座も凍結される

例えば、福岡山笠銀行の「天神支店」で借入れをしていたとしても、「博多駅支店」の口座だけは使える、というわけではありません。

同じ銀行内であれば、支店が異なっていても、原則としてすべての口座が凍結されると考えたほうがよいでしょう。

借入れのない銀行口座は通常どおり使える

一方で、福岡どんたく銀行には借入れがないため、弁護士は受任通知を送りません。
そのため、福岡どんたく銀行の口座が凍結されることは通常ありません。
これは地方銀行だけでなく、メガバンクなどでも同様です。

借入れのない銀行であれば、自己破産の手続中であっても、基本的にはこれまでどおり利用できます。

凍結された口座はいつ使えるようになるのか?

では、一度凍結された口座は、ずっと使えないのでしょうか。
実際には、多くの場合、一定期間が経過すると再び利用できるようになります。
その理由は「保証会社」にあります。

保証会社による「代位弁済」が行われるため

銀行のカードローンやクレジットカードには、保証会社が付いていることがほとんどです。
例えば、福岡山笠銀行の借入れに「ヤマカサ保証」という保証会社が付いているとします。
この場合、福岡山笠銀行は、弁護士から受任通知を受け取ると、ヤマカサ保証に対して代位弁済を請求します。

代位弁済とは、保証会社が利用者に代わって銀行へ返済することをいいます。

代位弁済が行われると、借金の債権者は福岡山笠銀行からヤマカサ保証へ移ります。
つまり、利用者は今後、福岡山笠銀行ではなく、ヤマカサ保証に対して返済義務を負うことになります。

代位弁済後は銀行口座を再び使えることが多い

代位弁済が完了すると、福岡山笠銀行との直接の借入関係はなくなります。
そのため、銀行口座の凍結も解除され、再び利用できるようになるケースが多いです。

受任通知の送付から代位弁済までの期間は、数か月程度であることが一般的です。
多くの場合、半年以内には手続が進み、口座を利用できるようになります。

保証会社が付いていない場合は注意が必要

もっとも、まれに保証会社が付いていない借入れもあります。
この場合は、自己破産の手続が終了し、免責許可決定が出るまで、口座凍結が継続する可能性があります。

債権回収会社へ債権譲渡されるケースもある

保証会社が付いていない場合でも、銀行が債権を債権回収会社へ譲渡することがあります。
この場合、借金の相手方は銀行から債権回収会社へ変わるため、銀行との直接の借入関係は終了します。
その結果、銀行口座を再び利用できるようになることがあります。

ただし、債権譲渡の時期は銀行ごとの債権管理方針によって異なるため、いつ口座が使えるようになるかは一概にはいえません。

家賃や給与口座は早めに変更しておくべき

そのため、借入れをしている銀行口座を、次のような用途で使用している場合には注意が必要です。

・給与の振込口座
・家賃の引き落とし口座
・水道光熱費などの引き落とし口座

これらについては、自己破産の準備段階で、借入れのない別の銀行口座へ変更しておくことをおすすめします。
例えば、福岡山笠銀行で借入れがある場合は、福岡どんたく銀行など、借入れのない銀行へ変更しておくと安心です。

どうしても同じ銀行口座を使いたい場合

どうしても借入先の銀行口座を引き続き使いたい場合は、保証会社による代位弁済が完了したかどうかを確認することが重要です。

代位弁済が完了すれば、口座が再び利用可能になることが多いため、手続きを依頼している弁護士へ確認してみるとよいでしょう。