破産をして、借入がある銀行に給与が振り込まれるとどうなるか?
自己破産や債務整理を検討されている方の中には、以下のような理由で不安に感じる方が多くいらっしゃいます。
「借入がある銀行の口座にお金が残っている。」
「借入先の銀行に給与が振り込まれている」
「その銀行口座は今後どうなるのか」
「給与は引き出せなくなるのか」
ここでは、「福岡山笠銀行」という架空の銀行を例に、借入がある銀行口座にお金が残っている場合、また、借入がある銀行の口座に給与が振込まれる場合の注意点について解説します。
1. 借入がある銀行の口座にお金がある場合の注意点
1_1. なぜ口座が凍結されるのか?
1_2. 弁護士に依頼する前に重要なこと
2. 借入先の銀行に給与が振り込まれる場合の注意点
2_1. まずは給与振込口座の変更を検討する
2_2. すぐに変更できないケースも多い
2_3. 給与を引き出せるかは「受任通知が届くタイミング」で変わる
2_3_1. ケース①:給与を引き出せるケース その1
2_3_2. ケース②:給与を引き出せないケース
2_3_3. ケース③:給与を引き出せるケース その2
2_4. 当事務所で行っている対応
2_5. 口座凍結後の給与の下ろし方
4. 借入先銀行に給与が振り込まれている場合は早めにご相談ください。
借入がある銀行の口座にお金がある場合の注意点
借入先の銀行口座は“凍結”されます。
例えば、福岡山笠銀行から借入をしているケースを想定します。
弁護士に破産や債務整理を依頼すると、弁護士は各債権者に対して「受任通知」という書面を郵送します。
当然、福岡山笠銀行にも受任通知を送ることになります。
そして、福岡山笠銀行が受任通知を受け取った時点で、その銀行の口座が凍結されます。
1_1. なぜ口座が凍結されるのか?
銀行は、受任通知を受け取ると「今後、通常どおり返済を受けられなくなる可能性が高い」と判断します。
そのため、銀行は少しでも貸付金を回収するために、口座を凍結し、預金と借入金を「相殺」します。
相殺とは?
例えば、
・福岡山笠銀行から100万円借りている
・同銀行の口座に10万円残っている
という場合、銀行はその10万円を借金の返済に充てます。
その結果、
・借金:100万円 → 90万円
・預金残高:10万円 → 0円
となります。
つまり、口座に残っていたお金は引き出せなくなります。
1_2. 弁護士に依頼する前に重要なこと
上記理由から、借入がある銀行に預金がある場合は、弁護士へ依頼する前に、口座残高をできるだけゼロにしておくことが重要です。
当事務所でも、以下のようなアドバイスを行っています。
例えば、福岡山笠銀行に借入がある場合には、
・生活費として必要なお金を事前に引き出す
・残高をできるだけ少なくしておく
借入先の銀行に給与が振り込まれる場合の注意点
さらに注意が必要なのが「借入先の銀行口座に給与が振り込まれているケース」です。
例えば、
・福岡山笠銀行に借入がある
・給与も福岡山笠銀行の口座に振り込まれている
という場合です。
2_1. まずは給与振込口座の変更を検討する
可能であれば、給与振込先を変更するのが最も安全です。
例えば、
・福岡山笠銀行には借入がある
・福岡どんたく銀行には借入がない
という場合は、給与振込先を福岡どんたく銀行へ変更しておけば安心です。
2_2. すぐに変更できないケースも多い
もっとも、実際には、
・会社が給与振込先を指定している
・変更手続きに時間がかかる
・次回の給与振り込みには間に合わない
というケースも少なくありません。
その結果、直近の給与が借入先銀行に振り込まれてしまうことがあります。
そのような場合は「受任通知が銀行へ届くタイミング」が非常に重要になります。
2_3. 給与を引き出せるかは「受任通知が届くタイミング」で変わる
例えば、給与日が毎月25日だとします。
先ほど説明したとおり、銀行は受任通知を受け取った時点で口座を凍結します。
ただし、破産のきまりでは、受任通知が届いた後に振り込まれたお金については、原則として銀行は相殺できません。
つまり「受任通知が届いた後に入金された給与」 については、引き出せる可能性が高いです。
2_3_1. ケース①:給与を引き出せるケース その1
・1月20日:銀行に受任通知が届く
・1月25日:給与が振り込まれる
この場合、給与は「受任通知が届いた後」に振り込まれています。
そのため、給与については相殺できず、引き出せる可能性が高いです。
2_3_2. ケース②:給与を引き出せないケース
・1月25日:給与が振り込まれる
・1月26日:銀行に受任通知が届く
この場合、給与が入って直ちにお金を引き出せば問題ないでしょう。
しかし、給与が振り込まれたすぐ後に受任通知が届いているので給与を下ろす時間がなかった場合も想定されます。
この場合、受任通知が届いた時点で、すでに給与が口座内に存在しています。
そのため、その給与は口座凍結・相殺の対象となり、引き出せなくなる可能性があります。
2_3_3. ケース③:給与を引き出せるケース その2
・1月25日:給与が振り込まれる
・1月30日:銀行に受任通知が届く
この場合は、給与が振り込まれてから受任通知が届くまでに数日の余裕があるので、それまでに給与を下ろせば大丈夫です。
2_4. 当事務所で行っている対応
当事務所では、給与が凍結されるリスクを避けるため、受任通知の発送タイミングを慎重に調整しています。
例えば、
・給与日前に届くよう速達で送る
・逆に給与日から数日後に届くよう調整する
など、状況に応じた対応を行っています。
給与日から数日後に届くよう調整する場合には「給与が入ったらすぐに引き出してください」とご案内しています。
そうすることで、受任通知が銀行へ届く時点では、すでに給与を引き出した後の状態にすることができます。
2_5. 口座凍結後の給与の下ろし方
なお、受任通知送付後は、ATMでキャッシュカードを使った引き出しができなくなることがあります。
もっとも、先ほど説明した通り、受任通知後に振り込まれた給与については、原則下ろすことができます。
この場合、窓口対応で引き出すようにしなければいけません。
例えば、福岡の地方銀行などでは「通帳」と「届出印」 を持参して窓口へ行くことで、払い戻しができる場合があります。
ただし、対応方法は銀行ごとに異なります。
そのため、以下の点について事前に確認しておくことが重要です。
・必要書類
・払戻し方法
・窓口での説明内容
当事務所では、各銀行ごとの対応も踏まえ、給与の引き出し方法について具体的にアドバイスしています。
銀行の支店が違う場合はどうなる?
例えば、福岡山笠銀行の天神支店でお金を借りている場合、福岡山笠銀行の別の支店(例えば、博多支店)にお金が残っているとき、博多支店に給与が振り込まれるとき、はどうでしょう。
この場合も事情は同じです。
福岡山笠銀行は、お金を借りている窓口の天神支店だけでなく、全部の支店の口座を凍結します。
したがって、天神支店で借りていて、博多支店にお金が残っていたり、給与が振り込まれる場合も、博多支店も口座凍結されてしまうので、これまで説明してきたとおりの注意が必要です。
※上記は、典型的な事例ではありますが、銀行により対応が違う場合がありますので、ご了解ください。
借入先銀行に給与が振り込まれている場合は早めにご相談ください。
借入先の銀行口座に給与が振り込まれている場合、対応を誤ると、生活費として必要な給与が引き出せなくなる可能性があります。
しかし、受任通知の送付時期や給与振込日を踏まえて適切に対応すれば、給与を確保できるケースが多いです。
自己破産や債務整理を検討されている方は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。