【自己破産を弁護士が解説】免責審尋とは? 質問される内容や当日の流れ
自己破産の手続きでは「免責審尋」という手続きが行われることがあります。
「裁判官からどのような質問をされるのだろう」「うまく答えられるか不安」と感じる方も少なくありません。
もっとも、免責審尋は申立人を追及する場ではなく「裁判官が免責を許可してよいか?」を確認するための手続きです。
この記事では、福岡地方裁判所で一般的に見られる手続きをもとに、免責審尋の位置づけや当日の流れ、質問される内容について、同時廃止事件と管財事件に分けて解説します。
一方で、「自己破産をすると、自由に引っ越しができなくなるのではないか?」と不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
結論からいうと、自己破産をしても引っ越しが禁止されるわけではありません。
ただし、「破産を申し立てる前」と「申し立てた後」では、引っ越しに関するルールが異なります。
ここでは、破産「申し立て前」「申し立て後」それぞれの場合について詳しくご説明します。
《目次》
1. 免責審尋とは?
2. 同時廃止事件と管財事件で免責審尋は異なる
2-1. 同時廃止事件の場合
2-2. 管財事件の場合
2_2_1. 破産管財人の役割
2_2_2. 債権者集会
2_2_3. 免責審尋の流れ
3. 免責審尋期日で質問されること
3-1. 借金の内容について
3-2. 借金・破産に至った経緯・理由について
3-3. 反省点
3-4. 現在の生活・心境
3-5. 免責審尋の内容、質問の内容は様々です
免責審尋とは?
免責審尋を説明する前に「免責」の意味を確認しておきましょう。
免責とは、正式には免責許可決定といい、裁判所が借金の支払い義務を免除する決定のことです。
自己破産の申立てでは、裁判所に次のような書類を提出します。
• 陳述書
• 財産目録
• 家計収支表
• 預貯金通帳の写し
• 給与明細 など
裁判官はこれらの書類を確認し、免責を認めるかどうかを判断します。
もっとも、判断は書面だけで行われるとは限りません。必要に応じて、裁判官が申立人と直接面談し、質問を行う「免責審尋」が実施される場合があります。
同時廃止事件と管財事件で免責審尋は異なる
免責審尋が行われるかどうかは、同時廃止事件か管財事件かによって異なります。
2_1. 同時廃止事件の場合
同時廃止とは、破産管財人が選任されない手続きのことです。
また、管財事件で原則として開かれる債権者集会も行われません。
福岡地方裁判所では、同時廃止事件で免責審尋が行われるケースはそれほど多くありません。ただし、審尋を実施したうえで同時廃止決定が出されるケースもあるため、一概にそうであるとはいえません。
なお、同時廃止事件で免責審尋が行われる場合の質問内容は、後述する管財事件の場合と概ね同様です。
2_2. 管財事件の場合
管財事件では破産管財人が選任され、債権者集会と免責審尋が行われます。
2_2_1. 破産管財人の役割
破産管財人とは、申立人の財産を管理・換価し、その結果得られたお金を債権者へ配当する役割を担う弁護士です。破産手続開始決定後に、裁判所が弁護士の中から選任します。
管財人の主な仕事は財産の換価と配当ですが、それだけではありません。
申立人に財産がほとんどない場合でも、管財人が選任されるケースは少なくありません。その理由は、管財人には免責を認めてよいかどうかを調査し、その結果を裁判所へ報告する役割があるためです。
この調査は「免責調査」と呼ばれ、調査結果をまとめた管財人の意見書は、裁判所が免責許可決定を行ううえで重要な資料となります。
2_2_2. 債権者集会
管財事件では、必ず債権者集会が開かれます。
裁判所が破産手続開始決定をすると、各債権者に対して、開始決定が出たことや第1回債権者集会の日時・場所が通知されます。
本来、債権者集会では、管財人が財産の回収状況や換価の結果、どの程度配当できる見込みがあるかを報告します。
一方、財産がほとんどないケースでは、配当できる見込みがないことが報告されることが一般的です。
2_2_3. 免責審尋の流れ
免責審尋は、通常、債権者集会の終了後に引き続き行われます。
当日は、まず管財人が裁判所に対して免責に関する意見書の内容を説明します。その後、裁判官が申立人本人に対して質問を行います。
免責審尋期日で質問されること
免責審尋期日での質問は主に裁判官が行い、どのような質問がされるかは、なかなか予測が難しいです。
しかし、一般的には以下のようなことについて質問がされます、
3_1. 借金の内容について
まず、申立人が借金の全容をきちんと把握しているかについて質問されることがあります。
・借金の総額がいくらくらいか?
・借金の内容はどのようなものか?(例えば、自動車のローンがいくらくらいか? 奨学金がいくらくらいか?など)
3_2. 借金・破産に至った経緯・理由について
基本的に、借金をして、本来返すべきなのに返せなくなった事には必ず理由があります。
申し立てた方がこの事を的確に把握していないと、また同じことを繰り返すかもしれません。
したがって、裁判官としては、そういったことを申し立てた方がきちんと把握しているか、確認しようとする場合があります。
・浪費やギャンブルをして借金ができた場合
⇒ なぜ、そのようなことを借金をしてまでしてしまったのか?
・比較的長期間が経過していくうちに徐々に借金が増えていった場合
⇒ 最初は少なかった借金が、なぜ返せなくなるほどに増えてしまったのか?
返せなくなった理由は、さまざまですので一概に言えませんが、その方なりに借金が返せなくなった原因を自分なりに考え、把握していることが重要です。
3_3. 反省点
借金・破産に至った経緯・理由を踏まえて、今後はどうしていきたいか?を聞かれることがあります。
借金・破産に至った経緯・理由を踏まえていても「その事を繰り返さないために、今後はどうしていこうと思うか」を考えて行動しないと、また同じことを繰り返してしまうかもしれません。
裁判官は、今後は返せなくなるほどの借金を繰り返さないかどうか?の観点から、こういった質問をすることがあります。
3_4. 現在の生活・心境
現在の生活状況、家計の内容について聞かれることがあります。
借金の額が増えすぎた結果、最終的に返せなくなった理由は、以下のような事だと思います。
・自分の収入に見合った支出に抑えることができなかった
・予期せぬ出費があり、備える貯金がなかった、
・自分の収入に見合わない大きな買い物をしてしまった、
しががって、以下のような質問がされることがあります。
・今は収入に見合った支出に抑えて生活できているか
・収入に見合った支出に抑えた生活を実践するためには何をしているか
そのため、普段から借金をしないために以下のような事を実践していることが重要です。
・家計簿をつけている
・毎月〇円は貯金して、予期せぬ出費に備えている
・借金の理由となったギャンブルや浪費はしないようにしている
3_5. 免責審尋の内容、質問の内容は様々です
裁判官にもいろいろなタイプの人がいますので、同じような事案でも質問の内容には裁判官の個性が出ます。
借金ができた理由も様々です。
例えば、借金ができた理由にやむを得ない事情が多い人は、免責審尋も簡単に終わるかもしれませんし、浪費やギャンブルでの借金が多い人は質問が多いかもしれません。
また、予想していなかった質問をされる可能性もゼロではありません。
したがって、どのような質問がされても、誠実に答えていくことが重要です。