破産すると配偶者に影響はある?借金・財産・信用への影響を解説
「自分が自己破産したら、夫や妻にも迷惑がかかるのではないか?」と不安に思われる方は少なくありません。
実際には、自己破産をしても配偶者に影響しないことが多いのですが、保証人になっている場合など、例外もあります。
ここでは、福岡で長年、自己破産・個人再生・任意整理などの債務整理を取り扱っている弁護士が、配偶者への影響について分かりやすく解説します。
《目次》
1. 自己破産すると配偶者(夫・妻)が借金を支払わなければならない?
1-1. 原則として配偶者に支払義務はありません
1-2. 外的に配偶者(夫、妻)が支払い義務を負う場合
1-2-1. 配偶者が保証人・連帯保証人になっている場合
1-2-2. 日常家事債務の場合
2. 配偶者(夫・妻)の財産も処分される?
2-1. 原則として配偶者名義の財産は処分されません
2-2. 実質的には破産者の財産と判断される場合もある
3. 配偶者(夫・妻)の信用情報やローンには影響する?
3-1. 配偶者の信用情報には通常影響しません
3-2. 家族カードは利用できなくなります
4. 破産した人は保証人になることが難しくなります
自己破産すると配偶者(夫・妻)が借金を支払わなければならない?
1-1. 原則として配偶者に支払義務はありません
自己破産をすると、ご本人は借金の返済を続けることができなくなります。そのため、「代わりに配偶者へ請求が来るのではないか?」と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、借金は原則として、借りた本人だけが返済義務を負います。
そのため、ご本人が自己破産をしても、配偶者が代わりに借金を返済しなければならないことは通常ありません。
もっとも、次のような例外があります。
1-2. 外的に配偶者(夫、妻)が支払い義務を負う場合
1-2-1. 配偶者が保証人・連帯保証人になっている場合
消費者金融や銀行カードローン(利用限度額が50万~100万円程度のもの)や、信販会社・銀行系クレジットカードでは、保証人が付いているケースはあまり多くありません。
一方で、次のようなローンでは、配偶者が保証人や連帯保証人になっていることがあります。
• 自動車ローン
• 比較的高額な借入れ(100万円を超えるものなど)
• 住宅ローン
これらは借入額が大きいため、借りた本人だけでは返済能力が十分でないと判断された場合に、保証人を求められることがあります。
このような場合、ご本人が自己破産すると、債権者は保証人である配偶者に対して返済を請求することになります。
保証人かどうかはどう確認する?
保証人になるには、保証人本人が契約書の保証人欄に署名・押印するか、電子契約の場合は電磁的記録によって契約する必要があります。
民法446条2項・3項では、書面または電磁的記録によらない保証契約は無効とされています。
そのため、以下の場合は、通常、保証人にはなっていません。
• 保証人として署名・押印した覚えがない
• 電子契約で保証人になった覚えもない
また、借りた本人が契約書の家族欄や緊急連絡先欄に配偶者の名前を書いただけでは、保証人になったことにはなりません。
記憶があいまいな場合は契約書を確認するか、契約書が手元にない場合はローン会社へ問い合わせるのが確実です。
なお、住宅ローンでは、配偶者が連帯保証人であっても登記簿には記載されません(連帯債務者であれば登記に記載されます)。
1-2-2. 日常家事債務の場合軽自動車の場合
民法761条では、夫婦の一方が日常の家事について契約した場合、その契約から生じた債務については、もう一方の配偶者も連帯して責任を負うと定められています。
例えば「 生活費を補うための借入れ」は、この規定により配偶者が責任を負う可能性があります。
一方で「ギャンブル」や「高額なぜいたく品の購入」などのための借金は「日常の家事に関する契約」には当たりません。そのため、配偶者が責任を負うことは通常ありません。
もっとも、私の経験では、夫婦の一方が自己破産した際に、債権者が「日常家事債務」を理由として配偶者に請求してきたケースはありません。
そのため、実際にこの規定によって配偶者が返済義務を負うケースはそれほど多くないと考えてよいでしょう。
配偶者(夫・妻)の財産も処分される?
2-1. 原則として配偶者名義の財産は処分されません
自己破産では、一定額以上の財産は換価(売却)され、債権者への配当に充てられます。
しかし、処分の対象となるのは、あくまで破産する方の財産です。
そのため、配偶者名義の預貯金、不動産、自動車、保険などについては、原則としてそのまま所有を続けることができ、換価されることはありません。
2-2. 実質的には破産者の財産と判断される場合もある
もっとも、名義だけが配偶者になっていても、実際には破産する方の財産と評価される場合があります。
たとえば以下のような場合など、財産形成の実態によっては、実質的には破産する方の財産と判断される可能性があります。
• 配偶者名義の不動産の購入資金を破産する方が負担していた
• 配偶者名義の保険であっても、保険料を破産する方が支払っていた
名義だけが配偶者になっていても実際には破産する方の財産と判断される場合には、配偶者名義であっても換価の対象になることがあります。
配偶者(夫・妻)の信用情報やローンには影響する?
3-1. 配偶者の信用情報には通常影響しません
配偶者自身がクレジットカードやローンを利用している場合、「夫や妻が自己破産すると、自分のカードも使えなくなるのでは?」と心配されることがあります。
しかし、クレジットカード会社は、カードを発行する際、カード名義人本人の収入や資産などをもとに審査を行います。
通常は、配偶者が自己破産したことだけを理由に、カードが利用できなくなったり、新たなカードが作れなくなったりすることはありません。
そのため、配偶者自身の収入や信用に問題がなければ、従来どおりカードを利用できることが多いでしょう。
3-2. 家族カードは利用できなくなります
家族カードは、本会員の契約に基づいて発行されるカードです。
実際に家族カードを利用したのが配偶者であっても、返済義務を負うのは本会員です。
そのため、本会員が自己破産をする場合には、家族カードも利用できなくなります。
また、自己破産を予定しているにもかかわらず、その後も家族カードを利用すると「返済できないことを知りながら利用した」と判断される可能性があります。
その結果、破産手続や免責に悪影響を及ぼすおそれがありますので、自己破産を検討している場合は家族カードも使用しないよう注意しましょう。
破産した人は保証人になることが難しくなります
自己破産をした方は、一定期間、信用情報に事故情報が登録されるため、新たな借入れやクレジットカードの作成、ローン契約などが難しくなります。
そのため、配偶者がローンを組む際に保証人を求められても、自己破産した方は保証人として認められないことが多くなります。
その結果、保証人が必要なローンでは、配偶者がローンを利用しにくくなる場合があります。
もっとも、配偶者自身の信用や収入に問題がなく、保証人が不要なローンであれば、通常どおり利用できるケースも少なくありません。
また、これは法律上の問題ではなく一般的な考え方ですが、ご家族が借金問題を経験された後は、生活にどうしても必要なものを除き、新たな借入れやローンはできるだけ慎重に検討されたほうが安心といえるでしょう。