【破産について弁護士が解説】破産を依頼後にやってはいけない事は?

弁護士に破産を依頼すると、弁護士が各債権者に、これらの手続きを受任したことを記載した書面(受任通知)を送ります。すると、債権者からの請求がいったんやみますし、返済も一時的に止めていい状態になります。
借金を抱えていた方にとって「これまで収入に対して大きすぎる返済をどうやって行くか」という悩みからいったん解放され、家計のやりくりが楽になります。
しかし、弁護士への依頼はスタートであり、ゴールではありません。
破産は、弁護士への依頼後、裁判所の許可が出るまでの道のりが長いです。
この道のりにおいて、してはならないことは何か?
弁護士に債務整理を依頼した後の心構えについて、説明します。

一方で、「自己破産をすると、自由に引っ越しができなくなるのではないか?」と不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
結論からいうと、自己破産をしても引っ越しが禁止されるわけではありません。
ただし、「破産を申し立てる前」と「申し立てた後」では、引っ越しに関するルールが異なります。
ここでは、破産「申し立て前」「申し立て後」それぞれの場合について詳しくご説明します。

《目次》
1. 財産について
2. 保険からの借り入れ
3. 一部の債権者への返済はNG
4. 新たな借金はNG―スマホ料金と一緒に後払い等、後払いシステムの利用にもご注意を―
5. 浪費ギャンブル、宝くじの購入
6. お金の使い過ぎ

財産について

破産においては、一定基準を超える財産は管財人に渡し、債権者に配当しないといけません。
これらの財産をお金に換えて使ってしまうと、債権者が配当を受けられなくなります。
したがって、こういった行為をすると、免責決定(借金の免除の許可)がもらえません。
破産をする場合は、一定額以上の財産は管財人に渡すべきなので、ご自分では自由に処分ができないという自覚が必要です。
例えば、弁護士に破産を依頼してから、申し立てる前に保険が満期になってお金が入ってきたときなどは要注意です。
ご自分の財産なので、ご自分が自由に使っていいと錯覚しがちですが、こういった満期の保険金も管財人に渡して、債権者に配当すべきものです。
したがって、いったん申立を依頼した弁護士に預け、同弁護士から管財人に渡してもらうようにすべきです。

学資保険で、子供の大学、専門学校等の入学金、授業料などに充てたいなど、事情がある場合は弁護士に相談してください。
その他、自動車や宝石、時計等の貴重品の売却なども、本来管財人に渡して債権者に配当すべき財産ですので、絶対やってはいけません。
それらを売却しないと、当面の生活費がないといった切迫した事情がある方は、弁護士にご相談ください。

保険からの借り入れ

貯蓄型の保険は、満期前に解約しても、解約返戻金が返ってきます。
したがって、貯蓄型の保険の多くは、解約返戻金を担保に上限まで借り入れができます。
しかし、保険も解約返戻金が一定額(福岡地方裁判所本庁では、すべての保険の解約返戻金の合計が20万円以上)以上だと、管財人が解約して債権者に配当しないといけません。

しかし、保険からの借り入れをしてしまうと、解約返戻金が減り、債権者への配当額が減ります。
保険の解約返戻金を担保とした借り入れも財産の一部を自分で処分したことに当たり、免責が出ない理由となりますので、やってはいけません。

一部の債権者への返済はNG

破産においては、すべての債権者(借入先)を平等に扱わないといけません。
つまり、一部の債権者(借入先)だけに返済することは固く禁じられています。
そういったことをすると、一部の債権者だけ借金を回収できたことになり、債権者間での不平等が出てしまいます。

この事は、債権者が、知人、友人、親せき等の個人の方であっても同じです。
私的な関係のある人には義理を欠きたくないし、今後の付き合いもあるので返したいという気持ちはよくわかります。
しかし、破産の手続きにおいて、相手が個人であっても、返済してしまうと免責が出なくなる恐れがあり、何のために破産・免責手続きをしているのかわからなくなります。

また、返済をした場合、管財人が、その事で生じた不平等を解消するため、返済を受けた人から返済を受けたお金を回収し、そのお金を改めて各債権者に平等に配当する場合があります(否認権の行使と言います)。その結果、返した相手の方にかえって迷惑がかかる恐れもあります。
よって、債権者(借入先)への返済はやってはいけません。

新たな借金はNG―スマホ料金と一緒に後払い等、後払いシステムの利用にもご注意を―

破産をするということは、もう返済の意思がないということです。
返済の意思がないのに、借入、ローンでの物品購入、クレジットカードの決済などをすると、債権者が返してもらえない金額を増やしていることになるので、絶対にやってはいけません。

個人からの借り入れも同様です。
弁護士に破産を依頼した後、個人の方から借り入れたり、ご自分の支払うべきものを立て替えてもらったりした場合も、借入であるので、その個人の方を債権者一覧表に記載しなければなりません。
そして、その個人の方への返済も禁止されます。弁護士に破産を依頼した後の個人の方から借り入れであっても(先ほどご説明した)一部の債権者への返済にあたり、免責が出ない原因となります。また、管財人が、その方からお金を回収する場合もあります。
したがって、個人の方からの借り入れもやってはいけません。

また、最近は、物品購入やサービス代金の支払い方法が多様化しており、買い物等の支払いをスマホの料金と一緒に行うキャリア決済、その他にも後払いシステムが多くあります。こういった後払いシステムは、借金であるとの自覚を持ちにくい面がありますが、これも借金に当たります。
したがって、後払いシステムの利用もやってはいけません。

一方、以下の決済方法は、買い物やサービスの受領と同時に、支払いも完了しているので借金には当たりません。
・決済と同時に預貯金口座からお金が落ちるデビットカード
・先にお金をチャージしておき、そこから決済されるプリペイド式

要は、物品購入やサービスの受領が終わっているのに、支払いはまだ終わっていない状態は借金になるので、やってはいけません。

浪費ギャンブル、宝くじの購入

借金の原因に浪費やギャンブルがあり、破産をしようとしている人は、これらの浪費やギャンブルをしてはいけないことは当然です。借金の原因が解消されていないし、反省が見られないとして、免責が出なくなってしまいます。
しかし、浪費やギャンブルが借金の原因である方も、そうでない方も、少額の馬券を買うとか、少額の宝くじを買うとか程度ならいいのではないかと軽く考えてしまうかもしれません。
しかし、少額であっても、破産・免責手続きをしようとしているときに、こういったことをしてしまうと印象が悪くなります。まだギャンブルや浪費癖が抜けていない、反省が足りないなどと裁判官に思われてしまうかもしれません。
したがって、多額なものはもちろん、少額であってもギャンブルや浪費はやってはいけません。

お金の使い過ぎ

多額の賞与が入ったり、自営業の方で、たまたま大きな売り上げが挙がった場合などには注意が必要です。それらのお金は、ご自分が働いて得たお金なので自由に使っていいと思いがちですが、破産・免責の準備や手続きをしているときにお金を使いすぎてしまうと、裁判官の印象が悪くなります。家計の不足分を補填(ほてん)していって、徐々に家計の繰り越しが減っていく分には仕方がないですが、使い過ぎをしてしまうのはやめるべきです。
一時的に大きな収入を得た場合でも、なるべくいつも通りの生活をすべきです。
もちろん、家計に余剰があり、お金が余っていると、財産があるとみなされ管財人が付きやすくなったり、家計上余ったお金も管財人に渡さないといけない場合があるなど、デメリットも生じます。
しかし、お金を使いすぎて、反省をしていないと裁判官に思われ、免責が出にくくなったりするよりはいいと思います。

また、家計上お金が余っている場合は、預貯金口座からおろして現金で持っておくと99万円までは管財人に渡さなくていいことが多いので、そういった方法をとることもあります。