預金差押え後も通帳や口座は使える? 差押えの仕組みと影響を解説


借金や税金の滞納が続くと、預貯金を差し押さえられることがあります。

「銀行口座が急に使えなくなるのでは?」
「差押えされた後も通帳は使える?」
「給料が振り込まれたらどうなる?」

このような不安を抱えている方も多いでしょう。

そこで今回は、預金差押えの仕組みや、差押え後に口座がどうなるのかについて、福岡の弁護士がわかりやすく解説します。

1. 預金差押えとは?
 1_1. 一般の金融機関の場合
 1_2. 税金や社会保険料の場合

2. 預金差押えには銀行名・支店名の特定が必要

3. 複数の銀行を差し押さえる場合は「割り付け」が必要

4. 差押えの対象になるのは「通知到達時」の残高のみ

5. 預金差押え後も銀行口座は使える?
 5_1. 差押え後も口座を使えるケース
 5_2. 口座が凍結されるケース

6. 預金差押えを受ける前に弁護士へ相談を

1. 預金差押えとは?

預金差押えとは、銀行や消費者金融などの金融機関などが、貸しているお金等を、借りている人の銀行口座内の預金から回収するために行う法的手続です。
差押えが行われると、口座内の預金の一部または全部が、債権者に回収される可能性があります。

なお、差押えを行うための手続は、債権者の種類によって異なります。

1_1. 一般の金融機関の場合

消費者金融や銀行などの一般債権者が差押えをする場合、通常は裁判を起こして、判決などの債務名義を取得しなければなりません。

1_2. 税金や社会保険料の場合

一方で、税金や社会保険料の滞納については、裁判を経なくても差押えが可能です。
そのため、税金滞納による差押えは、比較的早い段階で行われることがあります。

2. 預金差押えには銀行名・支店名の特定が必要

一般の金融機関が預金を差し押さえる場合、対象となる銀行名だけでなく、支店名まで特定する必要があります。

たとえば、「福岡山笠銀行 福岡支店」「福岡どんたく銀行 天神支店」といった形で、具体的に指定しなければなりません。
そのため、債権者にとっては「どの銀行の、どの支店に預金があるのか」を調査する必要があり、これは簡単ではありません。
なお、ネット銀行の場合は、通常の銀行とは異なり、支店名の特定が不要なケースもあります。

3. 複数の銀行を差し押さえる場合は「割り付け」が必要

複数の銀行や支店を同時に差し押さえる場合、債権者は「どの銀行にいくら差し押さえるか」を事前に決める必要があります。

たとえば、請求額が100万円の場合、「福岡山笠銀行天神支店:50万円」「福岡どんたく銀行天神支店:50万円」というように、差押額を割り付けます。

しかし、「どちらかの口座に100万円あれば全部回収できる」という仕組みではありません。
割り付けによって回収額が変わることもあるためです。

たとえば、「福岡山笠銀行に100万円の残高がある」一方で「福岡どんたく銀行には残高がない」という場合では、福岡山笠銀行への差押額を50万円としていた場合、回収できるのは50万円までです
もし福岡山笠銀行に100万円全額を割り付けていれば、100万円回収できた可能性があります。
このように、差押えでは「どの口座に、いくら割り付けるか」が重要になります。

4. 差押えの対象になるのは「通知到達時」の残高のみ

預金差押えで対象となるのは、差押命令が銀行に届いた時点の口座残高です。
つまり、差押え後に新たに入金されたお金まで、自動的に差し押さえられるわけではありません。

たとえば、「差押命令到達時の残高:20万円」で「その後の給与振込:25万円」という場合、原則として、差押えの対象になるのは最初の20万円のみです。
後から入金された25万円については、今回の差押えの効力は及びません。

5. 預金差押え後も銀行口座は使える?

「差押えされたら、その銀行口座はもう使えないのでは?」と心配される方も多いですが、必ずしもそうとは限りません。

5_1. 差押え後も口座を使えるケース

たとえば、「差押えを受けた銀行から借入れをしていない」という場合、口座が凍結されず、そのまま利用できることがあります。

5_2. 口座が凍結されるケース

一方で、差押えを受けた銀行から借入れをしている場合には注意が必要です。
銀行との契約には「差押えを受けた場合には、残りの借入金を一括返済しなければならない」という条項(期限の利益喪失条項)が含まれていることがあります。
そのため、銀行側が口座を凍結する可能性があります。

6. 預金差押えを受ける前に弁護士へ相談を

預金差押えは、ある日突然行われることがあります。
特に、以下のような場合には注意が必要です

・長期間返済ができていない
・裁判所から書類が届いている
・税金や社会保険料を滞納している

差押えが行われる前であれば、任意整理や自己破産、個人再生などの債務整理によって解決できる可能性があります。
早めに弁護士へ相談することで、差押えを回避できるケースもありますので、不安がある方は早めにご相談ください。